iPS心筋を移植 [讀賣新聞]
- 米ハーバード大の日本人研究者らが、iPS細胞(新型万能細胞)から心筋の細胞を作り、重症の心不全患者に細胞移植する治療をしていた。iPS細胞を利用した世界初の臨床応用例であり、既に6人の患者に実施している。同大の日本人研究者は、森口尚史・客員講師。森口講師は、東京大学の客員研究員も務める。
- 最初の患者は34歳の米国人男性。肝臓がん治療のため肝臓移植を受け成功したが、虚血性心筋症を発症。チームは移植時に冷凍保存してあった男性の肝臓から、幹細胞に変化する手前の「前駆細胞」を採取し、iPS細胞を作製。これを心筋細胞に変化させ、大量増殖させ、特殊な注射器で患者の心臓に心筋細胞を注入・定着させた。男性は8ヵ月経った現在も、平常の生活を送っている。
- 日本でも技術的には可能な手術だが、公的指針で動物実験を経た上で研究計画を立てて国に申請することが義務付けられている。森口講師らは、ブタの実験で安全性を確認した上で、緊急性を考慮したハーバード大の倫理委員会から「暫定承認」が出された。京大の山中教授が、6年前に作成に成功したiPS細胞の臨床応用が、予想を超えるペースで進んでいる。
コメント 0